海外で働くこと~言葉と文化の違いを越えて

略歴:

1982年 大阪外国語大学アラビア語学科卒業

     東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行

1997年 ロンドン駐在(ロンドン支店、欧州本部)

2008年 カイロ駐在員事務所長

2012年 中東北アフリカ・エグゼクティブアドバイザー(ドバイ駐在)

2018年 公財)国際通貨研究所 主任研究員

2024年 九門康之研究所設立(経営コンサルタント)

ロータリー歴:

2012年 ジュメイラ・ロータリークラブ、アラブ首長国連邦ドバイ入会

     Club# 75857, District 2452

2014~2017年 ネパールカトマンズ孤児院支援プロジェクト担当

2015年 国際奉仕委員長

2024年 川崎ロータリークラブ入会

     Charter# 7769, District 2590

話者は、銀行員として海外(英国、エジプト、アラブ首長国連邦など)に駐在した。海外駐在の経験から、異文化の中で生き・働き・家族と共に過ごしたかをお話する。異文化の地では「郷に入っては、郷に従え」という。しかし、異文化の地で感じることは、出身国(日本)への愛着であり望郷である。異文化の中に飛び込んで、そこでの生活に慣れることは難しく障害も多い。筆者は、どのような障害に直面し、それをどのように乗り越えてきたのかを具体例を示す。これは一個人の経験に過ぎないが、類似の状況に直面される方々のご参考になれば幸いである。
 具体的な事項としては、「言語」(英語、アラビア語)、「文化」(欧州人の仲間意識、英国の近所づきあいとチャリティー、イスラーム教)などについて取り上げる。言語の壁は高い。英国に赴任での最初の仕事は、英国人幹部の補佐として本部の考えを伝えることだった。しかし、相手から「あなたの英語は判らない」といわれてしまう。文化の壁にも直面する。欧州人は基本的にアジア人である我々に仲間意識をもってくれない。融資団組成の打合せは日本人抜きで突然始まり、結論を言い渡される。レセプション(金融業界の親睦会。軽い飲み物を出す)に出席しても声をかけてもらえない。他方、近所づきあいでは、娘がクッキーを焼いて野鳥保護団体への寄付金集めを実施。チャリティー文化に触れた。中東では、アラビア語を話すことで人と距離が近くなったことを感じた。一方で、イスラーム教を尊重する必要があり、多様性の重要さを学んだ。
筆者の海外経験は20年以上にわたる。大阪外国語大学在学中にエジプト・カイロ大学文学部に留学した。在学中に、クウェートの工事現場で通訳(英語・アラビア語~日本語)を、カイロでは観光ガイド通訳を経験した。1982年東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行後、改めてカイロ大学でイスラーム法を学んだ。その後、中東のバハレーン支店で勤務を経て、東京に戻り、1997年から英国ロンドン駐在10年。ロンドンからは、欧州各国、中東アフリカおよびロシア地域の経営企画を担当。2008年、カイロ駐在員事務所長として赴任し、エジプトの他、ヨルダン、パレスチナ、イスラエル並びに北アフリカ諸国を管轄した。さらに、2012年から2018年の間、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに駐在し、中東北アフリカ地域のアドバイザーを務めた。ドバイではジュメイラ・ロータリークラブの会員として活動。ネパールの孤児院支援プロジェクトを実施。同内容についてロータリー研究会(2024年横浜)で報告した。
 
大阪外国語大学アラビア語学科卒業。英国オープン大学(通信制)卒業。
ロンドン大学付属ベイズ・ビジネススクールで経営学修士(MBA)取得。
三菱UFJ銀行、国際通貨研究所を経て現在は、中東関連の経営コンサルタント、大学講師として活動している。
著書に「中東・オリエント文化事典(イスラーム金融の項)」丸善出版、「イスラーム金融とは何か(概要部分)」小学館新書がある。日本中東学会会員。

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